web系のデザイナーやエンジニアなら一度は考えるであろうフリーランス。
しかし、いざフリーランスとして開業する時にはどんな準備をしていけばよいのか、いまいちわからない人も多いのではないでしょうか?
実は私自身、きちんと準備できないままフリーランスになってしまった経験があり、その結果スムースなスタートを切れませんでした。
そんな私の経験も踏まえつつ、フリーランスになろうと思ったらやっておきたいことを紹介していきます。
今回は、大まかな目安として開業前の半年〜1ヶ月前くらいまでに済ませておきたい準備を中心に解説していきます。
半年程度の生活資金を貯金しておく
フリーランスをスタートしてから最初の難関は仕事を受注することです。
仕事がないと収入がなく、収入がないと精神的に不安を感じ焦ってしまいます。
その結果、目先のお金欲しさに条件の悪い仕事を受けてしまいがちです。
起業したてのフリーランスの足元を見て寄ってくるクライアントも中にはいます。
気持ちに余裕を持ち、正常な判断・行動をするためにも、当面の生活資金を用意しておくことをおすすめします。
目安としては半年以上の貯金があるとよいでしょう。
事業計画を立てる
事業計画と聞くと、例えば「融資を受けるために事業計画書を作成して…」というイメージをもつ人も多いのではないでしょうか?
そのため「資本もほぼいらないWeb系フリーランスに事業計画は必要ない」と考えるかもしれません。
確かに、細かく売上予測等を計算したり、第三者に見せるための事業計画書は作るまでしなくてもよいでしょう。
しかし、もっと本質的な意味で事業計画を理解し取り組んでみるのはとても有益です。
私が考えるに、事業計画をざっくり説明するならば、
「自分の事業を成立させる、あるいは目標を実現するためには、具体的にどのように行動していけばよいのか? その案が妥当と言える根拠は何か?」
ということを整理し、可視化することです。
事業計画のプロセスを体験してみると、漠然とイメージしていたことが具体化するので頭の中もクリアになるし、新たな気づき等も得られるでしょう。
もちろん、事業計画がそっくりそのまま現実化するとは限りません。
でも、だからこそ事業計画に意味があります。
と言うのも、何かしらの失敗や想定外のことが起きた時、自分が思うより簡単に冷静な判断ができなくなります。
特に、全てにおいて勝手がわからない起業初期ほど、焦ったり不安な気持ちになりやすく、本来やるべき行動や方向性から逸脱しやすいです。
例えば、ネットを検索すれば、いわゆるフリーランスの成功事例はたくさん見つかります。
そして、それらの多くは個別の成功事例であり、そこに再現性はなかったりします。
よくよく考えればわかりそうなものですが、いかんせん自分が不安な時ほどその手の情報にすがりたくなってしまいます。
フリーランスは孤独だし、周りに相談できる人がいるとは限りません。
そんな時、安易に外に情報を求めるのではなく、まずは事業計画に立ち帰ってみるべきです。
その上で新たに取り入れるべき情報を選択したり、自分のケースに当てはめた上で軌道修正していけばよいのです。
これが事業計画を立てる大きな意味です。
事業計画の立て方についてはたくさん書籍があります。
それらを参考にしながら自分のビジネスについて一度じっくり考えてみましょう。
屋号を決める
フリーランスは事業形態として個人事業主に該当するので屋号をつけられます。
もちろん、屋号を構えずに個人名で活動していくこともできるので、必須ではありません。
個人名だと名前を聞いただけで何をやっているのかわかりづらいため、なるべくなら屋号をつけておくとよいでしょう。
例えば、以下のようなケースで屋号を使います。
- 名刺への印字
- 印鑑の作成
- 事業用銀行口座の開設
- 請求書等の発行
- コミュニティ・集会等への名簿登録
個人名よりもわかりやすい印象になるのではないでしょうか。
屋号の決め方
特にこだわりがなければ、奇をてらわずに何屋さんなのかわかりやすい屋号名でよいでしょう。
以下はWeb制作関連のオーソドックスな例です。
- 〇〇デザイン
- 〇〇ウェブ
- 〇〇クリエイト(クリエイティブ、クリエイション)
- 〇〇スタジオ
- 〇〇ラボ
- 〇〇エンジニアリング
- 〇〇システム
「〇〇デザイン事務所」のように「事務所」や「オフィス」を付け加えることもよくあります。
それから、屋号名で検索して見つかりやすいかも考慮しておきましょう。
多少似たような名前が存在するのは仕方がないとしてと、類似する名称がたくさん検索でヒットしてしまうと、自分のサイトを見つけてもらいにくくなります。
屋号を考えたらその名称での検索結果を必ず確認しましょう。
自分のサイトが上位3位くらいまでに食い込めそうな状況が望ましいです。
屋号を決める時の注意点
基本的には自由に決められる屋号ですが、「株式会社〇〇」「〇〇合同会社」など法人格に付けられる名称は使えません。
それと、商標登録されている名称も使えません。
そんな人はいないと思いますが、例えば「東京ディズニーランド」という屋号を使ってはいけません。
商標については特許情報プラットフォーム J-PlatPatで検索できます。
ポートフォリオサイトを作成する
フリーランスになるなら必ず個人のWebサイトやブログを持ちましょう。
- これまでの経験や制作実績(掲載可のもの)
- 自分の売り(得意分野やスキル)や提供できる付加価値
- サービス内容や料金
- 問い合わせフォーム
上記のような基本コンテンツに加え、ブログやSNSによる情報発信ができると集客に有効です。
制作実績もさることながら、Webサイトそのものに得意なスキルを連想させる工夫をしてもよいでしょう。
例えば、イラストも手掛けられるWebデザイナーならイラストをさりげなく散りばめたり、JavaScriptが得意ならアニメーション等の演出を加えたり簡単なブラウザアプリを作るなどの工夫もできそうです。
なお、ポートフォリオサイトは検索エンジンのインデックスの時差を考慮し、開業1ヶ月〜2週間くらい前までには公開できるようにしておきましょう。
仕事場の設備を揃える
仕事場の環境を想定して必要なものを揃えておきましょう。
ある程度費用もかかるため、フリーランスになってから(なる直前で)準備すると想定外に出費がかさむこともあります。
そうなると、準備していた資金を圧迫しかねません。
ですので、最低限必要とわかっているものは決まった収入がある時に揃えておきます。
もしくは、費用を正確に見積もっておきましょう。
パソコン
何はなくともパソコンが業務に使えるスペックであることは必須ですね。
古いパソコンを使っている場合は新調したほうが仕事効率が上がります。
ディスプレイモニター
快適な作業環境にするならデュアルディスプレイがおすすめです。
デスクの大きさ・作業スペースも考慮しておきましょう。
Webデザイナーのためのディスプレイ・モニターの選び方と基本知識
デスク
家で仕事をするとなると、ある程度の広さをもったデスクが欲しいところです。
部屋の広さや間取りも考慮しないとなりませんが、個人的な感覚としては最低で幅120cm、できれば140cm以上あると広々と作業できます。
オフィスチェア
長時間デスクに向かうのでオフィスチェア(デスクチェア)も大切です。
粗悪なものやデスクワークに不向きな椅子を使っていると身体を悪くするので、その点注意しておきましょう。
デザインは好みが分かれそうですが、最近ではゲーミングチェアをオフィスチェア代わりに使う人も増えています。
ハイバックで身体全体を支えてくれ、オットマン付きや深いリクライニングで休憩もできるなど、長時間使用が想定された高機能性が特徴です。
プリンタ
コンビニでネットプリントもできる時代なので必須ではないかもしれませんが、個人的にあると便利だと感じるのがプリンタです。
普段はデジタルデータのやり取りが多いですが、いざという時に気兼ねなく印刷できます。
プリンタはランニングコスト(インク代)がかかる製品です。
本体価格だけでなく印刷コストを考えた上で選ぶのがコツです。
本体が安いけど印刷一枚あたりのコストが高くつくこともあり得ます。
大抵は機種ごとに一枚あたりの印刷代が換算されているので、商品説明を確認しましょう。
印刷コストとのバランスがとれているのは大体ミドルクラスのラインナップに多いようです。
ソフトウェア類
仕事で使うソフトウェア類(アプリケーション)も確認しておきます。
とは言っても、有料のもので必須なのはAdobeソフトくらいです。
もし職場のみしかライセンスがないなら契約します。
安く購入するならデジハリONLINE Adobeマスター講座がおすすめです。
プロ御用達!Webデザイナーの必須ソフトと業務効率化に役立つソフト
他にはWord・Excel・PowerPointなどのいわゆるオフィス系のアプリケーションを使う機会もあるでしょう。
無料のオフィス系ソフトでまかなうこともできますが、クライアントとのやり取りがスムースなのはやはりMicrosoft Office製品です。
必要に応じて購入を検討しましょう。
なお、ソフトウェア類の購入はフリーランスの開業時でもかまいません。
固定ネット回線の契約・見直しをする
- 通信容量無制限
- 安定した通信環境
上記2点を満たせるため、業務で使う上で固定ネット回線は必須と考えます。
また、既に契約している人も、最近のネット回線事情を理解しておくと、費用を安くできたり速度を改善できる可能性があります。
開業を機に見直してみるのがおすすめです。
特に新規の場合、ネット回線の開通には時間がかかります。
申込みが混み合っていなければ数週間〜1ヶ月程度、引っ越しシーズンだと2〜3ヶ月かかることもあります。
余裕を持ってプロバイダーに開通時期を問い合わせておきましょう。
基本的に光回線タイプであれば実用的な通信速度で利用できるでしょう。
フレッツ光 (NTT)
最も普及していて多くの人の選択肢になってくるのはNTTのフレッツ光回線だと思います。
最近は光コラボというサービス(プロバイダー)が人気です。
おそらくほとんどの場合、光コラボにすると料金が安くなるので、昔の契約のまま光回線を利用している人も契約を見直してみましょう。
光コラボの特徴の1つに、携帯3大キャリアとのセット割の適用があります。
携帯料金と併せて見直してみるとよいでしょう。
もう一点、フレッツ光回線を利用する際は IPv4 over IPv6 通信に対応しているプロバイダーを選ぶのがおすすめです。
IPv4 over IPv6は、IPv6 を IPv4 でも使えるようにする通信技術で、要は、トラフィックの混雑を回避して通信速度を改善する技術です。
フレッツ以外の回線
フレッツ光以外にも、auひかり、NURO光、J:COM、その他地域(地方)の光サービスなどがあります。
契約者が多く混雑しやすいフレッツ光に比べて通信が安定しやすいのがメリットです。
反面、加入条件がある程度限定されるのがデメリットです。
特に賃貸や集合住宅に住んでいる場合、その施設が対応していないと工事の許可をとらなければならなかったり、そもそも工事できないこともあります。
どちらかと言うと、戸建て(持ち家)に住んでいて自由に工事できる人が利用しやすい光回線と言えるでしょう。
携帯電話の契約・見直しをする
携帯電話は真っ先に節約できる固定費(経費)です。
政府からのお達しもあり、携帯キャリアの料金問題については今まさにホットな話題で、今後どう変わっていくか注目です。(2020年12月現在)
いずれにしても、ドコモ・ソフトバンク・auの3大キャリアを利用している人は一度見直してみる価値はありそうです。
個人的には3大キャリア以外の契約がおすすめです。
選択肢は、格安SIM (MVNO) かキャリアのサブブランドですが、仕事にも使う品質と考えると、現状ではサブブランドが有力かと思います。
ドコモでもahamoの提供が始まるので、Y!mobile・UQ mobileと並びサブブランドが出揃います。(ahamoは実質サブブランドとみなす)
その点、格安SIMやキャリアのサブブランドは、料金体系がわかりやすいのがメリットです。
ややこしい条件無しでシンプルに契約できます。
どれくらいの節約になるかは契約内容によりますが、私自身はサブブランドに乗り換えたことで、月当たり5,000円くらい節約できました。かなり大きいですね。
3大キャリアはの場合、複雑な契約条件を満たさないとセールス文句通りの安い料金になりません。(2020年12月現在)
それでも、家族割や光回線のセット割等を上手く使えば大幅に安くできるでしょう。
3大キャリアを使いたい人は、改めて割引条件を確認してみてください。
まとめ
おおよそ開業の一ヶ月前くらいまでに済ませておきたいことをピックアップしました。
開業時には他にもやることがあるので、今回紹介した内容は前もって準備・リサーチをしておきましょう。
なお、私自身の経験を踏まえたうえでの解説なので、人によってはあてはまらないことや他にも必要な準備等あるかもしれません。
ご自身の状況において整理してみてください。
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