Webデザイン用途にそれほどハイスペックなパソコンは必要ありません。
とは言え、毎日長時間使い続けるものなので、なるべくなら快適に作業できるマシンを選んでおきたいものです。
そこで検討してみたいのがマウスコンピューターのクリエイター向けブランドDAIVの5Pというモデルです。
- 薄型・狭額縁のスマートなデザイン
- 15.6インチサイズながら重量は約1.53kg
- 最長18.5時間駆動の長時間バッテリー
- Core i7 CPUとGeForce製グラフィックス搭載
- 視野角約170度、sRGB換算102%の広色域ディスプレイ
モバイル性能に優れながらもクリエイター向けパソコンとしての基本性能をおさえていて、価格は153,780円(税込)〜とコストパフォーマンスの高い製品です。
今回、マウスコンピューター様よりDAIV 5Pをお借りしてきたので、Webデザイナー目線で実機をレビューしていきたいと思います。
Webデザインのパソコン選びに迷っている方は参考にしてみてください。
DAIV 5Pの製品ページを見てみる本記事は2020年11月30日現在の情報を元にしており、製品の仕様や価格については変更されることがあります。
DAIV 5Pの基本情報
製品の仕様・基本情報をまとめておきます。
本体寸法 幅×奥行き×高さ | 356×233×17.9 (mm) |
---|---|
重量 | 約1.53kg |
液晶ディスプレイ | 15.6型 1920×1080(フルHD) ノングレア |
CPU | Intel Core i7-10750H (6コア/ 12スレッド, 2.6GHz / ターボブースト時5.0GHz) |
グラフィックス (GPU) | GeForce GTX 1650 |
メモリ | 16GB×1 (シングルチャンネル) |
ストレージ | 512GB (M.2 SSD) |
インターフェイス(接続端子等) | USB3.0 Type-A×2 USB3.0 Type-C USB2.0 HDMI microSDカードリーダー LAN ヘッドホン セキュリティスロット |
無線規格 | Wi-Fi 6 Bluetooth 5 |
バッテリー駆動時間 | 最長約18.5時間 |
付属品 | ACアダプター (90W / AC100V) マニュアル 保証書 スタートガイド CLIP STUDIO PAINT DEBUT 無料版ライセンス |
価格 | 153,780円 (税込) |
付属品
- 電源アダプター
- サポートマニュアル
- クイックスタートガイド
- 保証書
- CLIP STUDIO PAINT DEBUT 無料版ライセンスコード
付属品はシンプルです。
DAIVシリーズにはイラスト制作用ソフト『CLIP STUDIO PAINT DEBUT』がバンドルされています。
外観・インターフェース
個体の材質はマグネシウム合金です。
マグネシウム合金は合成金属の中でもトップクラスに軽く強度も高いのが特徴で、DAIV 5Pの軽量化・堅牢性に貢献しています。
個人的にはクリエイティブ用途のPCはやはり金属ボディが望ましいと考えています。
毎日長時間使用することが想定されるため、放熱性が高い金属ボディは熱が大敵のPCにとって優しい素材です。
頑丈なので持ち運ぶ際にも安心感があります。
天板は左中央にDAIVシリーズのロゴが印字されています。
中濃度のグレー色でロゴの主張は控え目なのは好印象です。
裏面は滑り止めのゴム足と排気用の大きなメッシュ穴(パンチ穴)、スピーカー用の穴が左右にあります。
側面のヒンジ側(ディスプレイの付け根側)には排気用のスリット穴が大きく取られています。
本体寸法は 356×233×17.9mm です。
15インチ型としては比較的コンパクトなサイズです。
ゴム足分の厚みを含めると高さ(厚さ)は約20mmとなります。
めちゃくちゃ薄いとまではいきませんが、スマートに持ち運べる薄さを実現できています。
特筆すべきは本体の重量です。
DAIV 5Pを手にしてまず感じたのがその軽さです。
15インチ型のノートPCの重量は大体1.8〜2.5kgくらいあり、1.8kgや1.9kgになると(2kgを切ると)軽量型のノートPCに分類されます。
そんな中、DAIV 5Pは約1.53kgと非常に軽い。
実際に持ってみても、見た目のサイズ感からイメージするより軽く感じられました。
接続端子
左側面のインターフェースは以下の構成です。
- セキュリティスロット
- LAN端子
- USB2.0端子
- USB3.0端子
- ヘッドホン端子
- microSDカードリーダー
USBは青のカラーになっている箇所がUSB3.0です。
右側面のインターフェースは以下の構成です。
- 電源(充電)端子
- HDMI端子
- USB3.0端子
- USB3.0 Type−C端子
HDMIの映像出力は 3,840×2,160 (4K) の解像度まで対応しています。
USB Type−CはPD (Power Delivery) には非対応です。
全体の傾向としてオーソドックスな装備です。
液晶ディスプレイ
液晶は映り込みの少ないノングレア(非光沢)タイプ、サイズは15.6インチ、解像度は1,920×1,080のフルHDです。
ナローベゼル(狭額縁)なので画面周りがスッキリとして、本体サイズの小型化に繋がっています。
上部中央のベゼル部分にWebカメラとインジケーター、マイクが搭載されています。
Windows Hello 認証(顔認証)にも対応します。
キーボード
おそらくキーボードはユーザーによって好みが別れやすいインターフェースでしょう。
特定の使い方・手癖・慣れなど、人によって使いやすさはそれぞれなので、一概に良し悪しは決めにくいところです。
印象としては特に大きな癖もなく、こだわり等なければ問題なく使えるオーソドックスな使用感です。
ベース配列はテンキー無しの日本語 (JIS) 配列です。
個人的には右端縦列の中ボタン辺りは廃してもよいと思いましたが、ノートパソコンには比較的見られる配列タイプです。
キーピッチは約18mmです。
キーピッチとはキー同士の間隔(キーの中心位置から隣のキーの中心位置までの距離)を指します。
フルサイズのキーピッチ約19mmよりは1mmほど狭いですが、特に打ちにくいこともなく、使っていれば慣れる範囲の差と思います。
キーストロークは約1.4mmです。
キーストロークとはキーを打ち込んだ時の沈み込む深さです。
キーストロークが2mm程度あると打ち込む感覚が割としっかりありますが、最近のノートパソコンは1mm程度とキーストロークの浅いものも増えてきています。
DAIV 5Pのキーストロークはその中間くらいの感覚で、浅すぎずといった印象です。
ちなみに、デスクトップ型のキーボードは3〜4mm程度のキーストロークです。
タッチパッド
タッチパッドは、軽く触れるタップ操作とタッチパッドを押し込むクリック操作がありますが、クリックの方の操作感はやや硬めに感じました。
タッチパッドの指滑りは普通です。
また、タッチパッドの左上部に小さなインジケーターランプがあり、そこをダブルタップするとタッチパッドのオン/オフを切り替えられます。(オフ時に点灯)
外付けのマウスを繋ぐ際にタッチパッドをオフにしておく使い方が考えられます。
バッテリー
DAIV 5P 2020年モデルの大きな特徴の1つが、最大18.5時間駆動するバッテリーです。
従来モデルの約2倍のバッテリー容量を搭載しており、現行DAIVシリーズの中で最長の持ち時間を実現しています。
もちろん、使い方によって実駆動時間は異なるし、負荷のかかる作業なら実際の駆動時間は短くなります。(それはどのノートパソコンも同じですが)
個人的な体感としては、比較的ライトな使い方なら丸一日、多少負荷のかかる作業を併用しても半日程度は持ちそうな印象でした。
バッテリーの持ちが長いノートパソコンと言えばAppleのMacBook系が代表的ですが、それに追随するバッテリーの持ちの良さを感じます。
電源アダプター
電源アダプターは一般的なアダプターの形状です。
欲を言えば、アダプターの小型化の工夫があればよりモバイル性に優れたと思いますが、コスト面を考慮するとなかなか難しいところなのでしょう。
USB PDに対応していれば電源の拡張性もありますが、USB PDには非対応です。
アダプター重量は約495gです。
DAIV 5P本体約1.53kgと合わせても約2kgなので、持ち運び時の総重量は軽いと言えます。
主要スペックの性能・パフォーマンス
続いてパソコンの処理性能に関わるスペックを確認していきます。
CPU
CPUは Intel Core i7-10750H で、コア数6、ベースクロックは2.6GHzです。
Webデザインは Core i5 シリーズ(1ランク下のシリーズ)でもまかなえるので、当CPUであれば余裕のスペックです。
グラフィックや動画系の処理にも使えるクラスなので、オールマイティにパワーを発揮できるでしょう。
CINEBENCH R23で計測したところ、マルチコアで6278pt、シングルコアで1187ptというスコアでした。
グラフィックス (GPU)
DAIV 5PはGeForce GTX 1650のグラフィックボードを搭載しています。
GeForce GTX 1650 はGPUとしてはエントリー〜ミドルクラスに位置するラインナップです。
Webデザインには必ずしも必要ないのですが、外部モニター接続時やその他グラフィックスを必要とする作業時など、GPUがあることでより幅広い用途に対応できるので、備えあれば憂いなしと言ったところです。
CPUには Intel UHD Graphics も内蔵されています。
メモリ
メモリ容量は16GBです。
Webデザインでは複数アプリを同時に起ち上げて作業するため、16GBあれば問題なく作業できますが、BTOで32GBにカスマイズすることもできます。
メモリの仕様はシングルチャンネル(メモリスロット1枚挿し)です。
動画制作・ゲーム・本格的なグラフィックデザインなど大容量のデータ転送や負荷のかかる処理が持続的に行われるようなケースでは、メモリ仕様はデュアルチャンネル(メモリスロット2枚挿し)の方が処理速度が向上します。
Webデザインのように比較的軽めの処理がメインの場合、メモリの仕様による差は感じにくいでしょう。
ストレージ (SSD)
ストレージ容量は512GBです。
Web制作では必要十分な容量と思いますが、BTOで2TBまでカスタマイズできます。
M.2 SSDとして標準的な読み書き速度が出ています。
実用面では十分な速度です。
液晶ディスプレイの画質
ディスプレイはIPSパネルで視野角は約170度、見る角度によって色味が変わってしまうようなこともありません。
色域はsRGB比102%で、一般的なノートパソコンより色域は広めです。
DTPやフォトグラフィック用途では足りませんが、Web制作であれば実用範囲内でしょう。
液晶の発光は明るめなので、輝度を少し下げた方が目に優しいと思います。
使用感レビュー
Webデザイン業務を念頭に置き、Photoshop、Illustrator、XD、Google Chromeブラウザを起ち上げて作業をしてみました。
結論としては、特に問題なくスムースで快適に作業できました。
やや容量のあるファイルを開き負荷をかけたり、YouTubeで動画を再生しながら作業している時など、ファンが回ることがありました。
ファンが回っている時はそこそこ排気音も発生します。
例えば、図書館のような静かな場所でファンがフル回転するような使い方をすると気まずい思いをするかもしれません。
排気口に手をかざすとファンの風が吹き出ているのがわかります。
マグネシウム合金ボディーの材質も相まってか個体が熱くなり過ぎることもなかったです。
長時間の使用が想定されるクリエイターモデルとして排熱対策もきちんと担保されています。
OSの起動も早く、9〜10秒程度でユーザーログイン画面まで起ち上がりました。
DAIV 5P総評
DAIV 5Pのレビューをしてきましたが、最後に私の見解をまとめてみます。
まず、この記事のテーマでもある「Webデザインに使えるパソコンか」という点についてはイエスです。問題なく使えるでしょう。
動画編集にも使えるレベルなので、Web制作以外のクリエイティブでもある程度オールマイティに使えるバランスを持ったPCという印象です。
その場合メモリは32GBにカスタマイズしておくとよいでしょう。
例えば、Web制作をしているとそこから派生して、動画制作の依頼を相談されることもあり得ます。(請け負うかどうかは人それぞれですが)
そんな時でもDAIV 5Pなら「パソコンが非力で使い物にならない!」なんてことにはならないでしょう。
ただし、頻繁に(あるいは本格的に)動画制作等の重い作業をしていきたい人はDAIV 5Nなどのよりハイスペックなモデルを選んだ方がよいです。
DAIV 5Pの最大のメリットは、軽量・薄型・長時間バッテリーといったモバイル性能です。
Webデザイン用途なら自宅でも外出先でも本機をメインマシンとして使えるでしょう。
デメリットとしては、USB PDやThunderbolt 3といった先進的なインターフェースはないこと、メモリがシングルチャンネルであるといった拡張性に制限がある点です。
コスト面との兼ね合いや上位機種との差別化などを考慮すると致し方ないのかもしれません。
総合的に見れば、DAIV 5Pは性能に対して価格にお得感・納得感を感じられるので、コストパフォーマンスの高い製品だと思います。
本格的なクリエイターモデルは価格帯もやや上がってしまうので、クリエイティブ機としての基本性能をおさえた上で税込でも15万円台という価格のリーズナブルさは魅力的です。
また、マウスコンピューターは国内メーカーである点も安心です。
24時間365日のサポートに加え原則72時間以内の修理と、海外メーカーでは真似が難しい対応だと思います。
Webデザイン向けのパソコン選びに迷っている方はDAIV 5Pを検討してみるのもよいでしょう。
DAIV 5Pの製品ページを見てみる本記事は2020年11月30日現在の情報を元にしており、製品の仕様や価格については変更されることがあります。
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