前回、情報収集の方法をお伝えしましたが、情報を集めることができたとしても『それらの情報をどう見ていくか』ということも考えなくてはなりませんね。
今回は、情報収集をする時のコツをまとめました。特にビジネス上必要な情報収集ならば、気をつけておきたいポイントです。それでは参りましょう。
目次
全ての情報は手に入らない
計量の結果、平成21年度の流通情報量は7.61×1021ビット(一日あたりDVD約2.9億枚相当)、消費情報量は2.87×1017 ビット(一日あたりDVD約1.1万枚相当)。
『我が国の情報通信市場の実態と情報流通量の計量に関する調査研究結果(平成21年度) ―情報流通インデックスの計量―』より
平成21年の調査ですが、日本国内だけで1日あたりDVD2.9億枚相当の情報が流れているとのことです、、、まぁ正直ピンときませんが。(笑)
ただ『情報が多すぎてわけわからん!』ということは、誰しも感じたことがあるのではないでしょうか?
現代の情報量は、無限にあると言っても過言ではないくらい膨大で、とても全ての情報を収集することはできません。言い換えると、情報収集に終わりはないということですね。
全ての情報を集めることはできないことを前提とし、情報収集自体が目的にならないようにすることが大切ですね。
『情報が足りない』と感じた時に気をつけたいこと
全ての情報を手に入れることができない一方、『情報が不足している』『もっと調べなければ』と考えてしまうことがないでしょうか?
なぜなら『知れば知るほど知らないことがあることを知る』ものですから。
しかしこれは注意が必要です。人間には知的好奇心への欲求があるため『知れば知るほどもっと知りたくなる』という感情が湧いてきます。
そう思う事自体はしょうがないし、良いことではあるのですが、感情が優先してしまうと、いつしか本来やるべき情報収集の範囲よりも、拡大していってしまう可能性があります。
そうならないためには、自分で自分にある程度ブレーキをかけられるようにしておくことが大切です。その方法が次の項目です。
目的を明確にしてから情報収集する
『無限にある情報の中から、的を得た情報収集を行うにはどうしたらよいのか?』
『終りが見えない情報収集をどこで区切れば良いのか?』
その答えは、目的を明確にしてから情報収集をすることです。
そもそも情報収集をするのは、問題や課題、欲求を解消するヒントを得るためですよね?
そのため、その自分自身の問題を具体的に言葉にすることから始めていきます。
問題を可視化する作業には、5W1H で考えるのがやりやすい方法です。
以下の記事の中で解説しているので参考にしてくみてださい。
目的が具体的であればあるほど、情報収集も捗るようになります。生きた知識として吸収しやすくなります。 情報の選別もしやすくなるはずです。
情報収集のための情報収集をする
目的が明確に定まらないまま情報収集をする時は「情報収集のための情報収集」をすることもあります。
『情報収集の目的が漠然としているから目的をハッキリさせるための情報を集める』わけですね。そうすれば、それ自体が情報収集の目的になってくれます。
そこから本来の目的を改めて明確にします。
その後、本来の情報収集を始めていきます。
自分が今行っている情報収集がどの段階なのかを考えておくと、効率的に情報収集ができます。例えば、次のような手順です。
- 売上を上げたいが何を調べたら良いかも漠然としている
- まずはどんな売上アップの方法があるのかを調べる(情報収集のための情報収集)
- それぞれの方法のメリット・デメリットを大まかに理解した
- 売上が上がらない原因がどこにあるのかを明確にする(問題を掘り下げる)
- リピート客が少ないことが原因だったのでリピート客を増やすためにメルマガを発行したい(目的の明確化)
- メルマガの書き方について情報収集をする(目的となる情報収集)
いわば、仮説を立てた上で情報収集をすることが重要です。
期限を設けた上でとことん情報収集をする
情報収集はキリがないので、情報収集する期間はあらかじめ決めておきます。
1週間なのか、2週間なのか、1ヶ月なのか、それ以上か。
そして、その期間中はとことん情報収集をしましょう。
なるべくなら、後から『情報が足りない!』となることがないように、集中して情報収集を行う方が、結果的にはその後の作業効率も良くなります。
どれだけの情報を集めるべきかは、おおよその感覚でも良いので期間を決めた上で配分していきましょう。
本は構成を掴んでから本文を読む
本を読む時は、本の最初と最後、目次、著者情報からまず読み始めます。
- 著者情報 → この本はどんな人が書いているのか
- 序文 → どんな人に向けた、どんなことを知ることができる本なのか
- 目次 → どんな構成でどんなことが書いてあるのか
- 結び → この本の結論や言いたかったことはどんなことか
これらのことを把握した上で本文を読み進めることで、本に対する目的意識を持つことができ、理解を助けてくれます。この読み方は速読法などの本を見てもしばしば言われていることですね。
インターネットの情報は玉石混交と知る
本や雑誌などの情報とインターネットの情報の最も大きな違いは何かご存知ですか?
それは、校閲が入っているか否かという点です。
本や雑誌、新聞などは必ず複数の人がその情報をチェックしたり、情報元を確認する(裏取り)といった作業が行われていますが、インターネットの情報はそうとは限りません。
例えば、twitterなどで『拡散希望!』と言って情報が広く拡散されたものの、その情報がデマであったりすることはよくあることですよね。
むしろ、誰もが自由に発言できることがインターネットの情報の性質ですから、あらかじめそういうものだと認識した上で、インターネットの情報は利用していきます。
Wikipediaは正しいとは限らない
何かを調べようと思った時、お馴染みのWikipediaが活躍してくれますね。
ところで、Wikipediaの編集方針をご存知ですか?
編集方針の中に次のような内容が書かれています。
ウィキペディアの仕組みには、不完全な記事を、共同編集作業を通じて磨き抜かれた記事へと向上させることができるという利点があります。
〜〜〜
中立的な観点、検証可能性、独自研究は載せないの記事における三方針、並びに著作権など、ウィキペディアの方針とガイドラインに反しないものであるならば、不完全な記事を投稿することも歓迎されるべきです。
Wikipediaはインターネットの特性を活かした共同編集というスタイルの百科事典です。それはそれで素晴らしいネットの財産ですし、私も利用させてもらってます。
しかし、編集方針にもあるように、内容は必ずしも信頼できるものである保証はないということを忘れてはいけません。
Wikipediaで一番参考にしたい情報は、実はページの下の方にあります。それが「脚注」です。
出典や注釈から情報源を辿ることができます。この情報源を辿ることで情報収集をしていくのがWikipediaの使い方です。
まとめ記事は引用元を調べることが前提で見る
NAVERなどに代表されるまとめ記事は、Wikipediaの使い方と同様、その引用元をチェックすることを前提に利用します。
まとめ記時は「それぞれに違うメッセージを持った情報」の言葉の一端をとってきて、パッチワークのように貼り付けてまとめているものです。
インターネットの性質を考えると、引用されたものを、さらに引用していることも十分にありえます。
言ってしまえば、人から聞いたことをそのまま言いふらしているようなものです。あるいは、その又聞き情報をさらに言いふらしているようなものです。
まとめ記事は一見便利に感じますが、 情報の信頼性という点では、そのまま鵜呑みにするべきではない情報です。
情報はできることなら1次情報まで遡る
- 引用が使われている情報を発見
- その引用元を調べる
- その引用元でも参照している情報があるならその情報も調べる
というように情報を遡って調べていきます。そうやって情報を遡ることで、できるだけ大元の情報までたどると、情報の信憑性が上がります。
そうは言っても、厳密に1次情報まで遡るのは難しいことがあります。その場合でも、自分の中で「確からしい」と思えるところまでは調べるようにしましょう。
レビューは事実を抜き出す
今やレビュー記事は何かと参考にしたくなる情報源ですね。
やはり情報収集をする時には、少し注意が必要です。
レビューは個人の感じ方によって評価が全く変わってきます。
絶賛する人もいれば酷評する人もいます。
それはそれで当然なのですが、情報収集をする時は、単に評価が高い/低いということに目を向けるのではなく、「そこに含まれる事実は何なのか?」ということを探すようにします。
『Aさんが絶賛している理由はどんな事実を受けてのことなのか?』
『Bさんが酷評しているのは何の事実が気に入らなかったからなのか?』
ということを考えれば、レビューはとても貴重な情報です。
情報の意図を考える
情報には必ず発信者の意図が存在します。
事実を報道するニュースや新聞でさえも、発信元によって事実をどう見ているのかは、少しずつ違っています。
情報には発信者の意図があることを意識し、「その情報はどんな立場の人から発信されているのか?」を考えながら情報に接します。情報によっては、何か見えない力が働いていたりするかもしれませんし。。。
発信者を調べてから情報にあたる
本の読み方でも伝えましたが、本の他にもブログなど発信者のプロフィール等が載っていることがあります。それを確認しておくと、その人の立場やバックボーンを多少なりとも知ることができます。
その上で情報にあたると『どんな立場の人がどんな意見を言おうとしているのか?』を理解する助けになります。
SNSは情報収集にこそ使う
SNSを楽しく利用している方もたくさんいるのではないでしょうか。しかし、SNSは情報収集にこそ使いたいツールです。
PRなどの投稿を除けば、SNSに投稿される内容は、そこでしか発信していない情報が多いです。
芸能人のSNSで考えるとわかりやすいと思いますが、通常であれば「テレビの中でしか見ることのできない芸能人」のプライベートやオフショット、ちょっとした発言を見ることができるのは、ブログやSNSといったメディアだけです。
つまり「他の公な媒体で発信する内容とは違う一面を見ることができる」のが、SNSにある情報です。細い利用のし方はそれぞれに違うとしても、会社やビジネス用のアカウントでもこれは当てはまります。
人に聞く時の丸投げ体質は逆効果
もし友人や知人からアドバイスをもらえそうな時は、どんな質問をするかあらかじめ考えておきましょう。
例えば
『どうやったらお金持ちになれるの?』
『どうやったらそのプロポーションを維持できるの?』
などと、アバウトな質問はするべきではありません。
そんな風に聞かれたとしても、相手には『本気でどうにかなりたくて質問しているわけじゃないんだろうな』と思われるのがオチですし、時間を割いてくれている相手に失礼です。
本気でアドバイスが欲しいなら、もっと前のめりな質問ができるはずです。
自分の状況を説明したり、自分なりの考えや仮説を伝えて意見してもらうなり。
そうすれば相手も具体的な話をしやすくなるはずです。
自分の知恵だけで解決できないことはあって当然ですが、安易に質問を丸投げしてアドバイスしてもらおうというのは、逆効果です。
アドバイスをもらう時は「なぜアドバイスを必要としているのか?」に始まり、自分から話をして、相手から情報を得られるように話を進めていきましょう。(相手が話している時は話し終わるまでしっかり聞きます。)
好意でアドバイスをしてくれた人には感謝も忘れずに。
時効のある情報に気をつける
新しく発信されたコンテンツでも、そこに含まれる情報が新しいとは限りません。
作成者が古い情報だと知らずに、話題を取り上げて書いていることも十分にありえます。とくにWeb関係はそういうことが珍しくありません。
その情報は今でも有効な情報なのか、疑わしい時は必ず調べましょう。
『そもそも情報が古いかどうかどうやって判断するの?』ということについては、次の項目で解決できます。
情報は必ず複数あたる
同じキーワードやテーマの情報でも、情報源によって伝えたいことや結論は異なります。
ということは、単体の情報を眺めているだけでは、情報や見方に偏りが出てきてしまうということです。
一見同じように見える情報でも、複数にあたることで、どれが信憑性のある情報なのか、どれが自分にとって納得のできる情報なのか、ということを判断できるようになります。
情報の本質は何かを考える
本のように何百ページとあるような情報でも『要は〇〇ということを言いたいんだな』というメッセージは、大抵1つか2つくらいです。
情報にあたる時は、そういったメッセージや情報の本質を考えるようにします。
それぞれの情報に対してその本質を考えるようにすれば、たくさんの情報を抱えていても、情報の整理がしやすくなったり、「今必要な情報なのか?」といった取捨選択ができるようになります。
情報そのものに依存しない
自分が知らなかった新しい事実や知識、別の視点からのものの見方、先人たちが生み出した知恵などを拝借できることが情報の価値ですよね。
でもそれ以上に重要なのは、情報を受けて、自分なりの考え、価値観、判断基準、仮説、ロジックといったものを築き上げていくことです。
情報を自分なりに消化しないとどうなるか。
『あっちの人がああ言えばそれを信じ、こっちの人がこう言えばそれを信じ、、、』
というように、情報に振り回されてしまいます。
大切なのは「自分にとって最適な情報を選び取る力」と「情報を噛み砕いて自分の血肉にする力」だと私は考えています。
情報に正解や答えそのものを求めてしまうと、情報に踊らされてしまいます。
あくまで情報は情報でしかありませんから。
コメントをどうぞ