前回は、Googleアナリティクスの導入から、アカウント、プロパティ、ビューの初期設定について解説しましたが、実際にアクセスを分析をするには、その設定だけでは不十分です。
今回は、Googleアナリティクスを活用するうえで不可欠となる フィルタ機能とビューを組み合わせた設定 について、そのポイントを紹介します。
特にフィルタは『設定できて初めてWeb解析ができる』と言っても過言ではないくらい重要ですので、きちんと理解しておきましょう。
目次
ビューとフィルタの使い方
レポートビューは、Google アナリティクス アカウントでレポートや分析ツールを利用するための場所です。
Webサイトの分析を行う上で必ず覚えておきたいのが、複数のビューを作成して分析しやすくする方法です。
Googleアナリティクスでは、レポート内でディメンションやセグメントといったデータの区分けをすることができます。
しかし、データをある程度深く分析していこうと思った時には、あらかじめ絞りこまれているデータを元に分析した方が気づきや発見を得やすくなります。
例えば、スマホユーザーのサイトの利用傾向を細かく把握したいと思った場合、PCユーザーのアクセスを含んでいる全体のデータを眺めるよりも、はじめからスマホユーザーのデータのみでレポートを分析したほうが、余計なデータに惑わされずに分析できますよね。
効率良く分析ができるように、用途に応じてビューを追加していきます。
フィルタの性質を理解する
ビューを複数作る時に、一緒に利用するのがフィルタ機能です。
フィルタを利用する時に注意すべきなのが、フィルタをかけるとビューのデータそのものを加工してしまう点です。
例えば、スマホーユーザーのみを計測するフィルタを適用したなら、その後フィルタを解除したとしても、適用期間のデータについては、スマホユーザーのデータ以外ありません。
そのため、目的ごとにビューを作成し、そのビューにだけフィルタをかけるという使い方をすることもよくあります。
Googleアナリティクスで使われる2種類のフィルタ
Googleアナリティクスにフィルタと呼ばれる機能が2つあります。
1つは、今回紹介している機能で、管理画面から作成するビューフィルタです。
Googleアナリティクスで『フィルタ』と呼ぶ時は、ビューフィルタを指していることが多いでしょう。(※便宜上、当記事もビューフィルタを『フィルタ』と呼んでいます。)
もう1つは、アドバンスフィルタです。
アドバンスフィルタは、レポート画面上で利用する機能で、検索や絞り込みをする機能です。

ビューフィルタは取得するデータそのものを絞り込むのに対し、アドバンスフィルタはレポート上の表示項目を絞り込みます。
それぞれの違いを理解しておきましょう。
フィルタの管理と適用範囲
フィルタはアカウント単位で管理し、アカウントメニューの[すべてのフィルタ]から新規で作成したり、既存のフィルタをアカウント内の各ビューに適用することができます。
ビューメニューの[フィルタ]から新規で作成した場合は、選択しているビューにのみ適用されますが、一度作ったフィルタはアカウント全体で利用できます。

ビューとフィルタの作成 3つのポイント
ビューとフィルタの設定時は以下のポイントに気をつけてましょう。
フィルタを適用する順序に気をつける
フィルタを適用する順番を間違えると、意図したようにデータを計測できなくなることがあります。
例えば、東京と北海道からのトラフィックを計測したいと考え、次のような順番で適用したとします。
- 東京からのアクセスのみ計測するフィルタA
- 北海道からのアクセスのみ計測するフィルタB
この場合、北海道からのアクセスは計測されません。
東京だけに絞るフィルタA をかけた時点で、北海道からのアクセスデータを捨ててしまっているからです。
このように、各フィルタの適用範囲を意識しながら、フィルタ同士が矛盾しないように注意しましょう。

フィルタの適用順序を変更する方法
ビューメニューの[フィルタ]をクリックして使用中フィルタの一覧を表示します。
[ランク]がフィルタを適用する順番です。
[フィルタの順序割り当て]をクリックして、順番を並べ替えます。
フィルタを適用しないビューを作成する
フィルタはデータそのものを加工する不可逆の性質なので、 フィルタ類を一切適用していない全部入りのビューを残しておきましょう。
設定を誤るなどしてデータを削ってしまったとしても、別のビューにデータが残っていれば、『データを失った!』という事態は防げますね。
いわば、バックアップや保険の役割ですね。
必ず作っておきましょう。
ビューの追加はコピー機能を使うと便利
新しいビューを作成する時は、新規でイチから設定をしなくても、既存のビューをコピーしてそれに変更を加える方法があります。
コピー機能を利用すると、コピー元に設定している項目の一部が複製されるので、再度設定する手間が省けますね。
複製される項目 | 複製されない項目 |
---|---|
フィルタ 目標 ユーザー ユーザーの権限 eコマース設定 など |
メモ セグメント アラート チャネル設定 コンテンツグループ など |
ビューは1つのプロパティにつき、25個まで作成できます。
ビューをコピーする方法
コピーしたいビューが選択されていることを確認し[ビュー設定]をクリックします。
画面の右上にある[ビューをコピー]をクリックします。
コピー作成画面に切り替わるので[新規ビュー名]を入力して[ビューをコピー]ボタンをクリックしてコピーします。
コピーして作成したビューに、必要な変更や設定を加えます。
参考: ビューのコピーを作成する – アナリティクス ヘルプ
最初に追加しておきたいビューとフィルタの設定
ビューもフィルタも、作成し適用した時点から計測が始まります。
過去の期間にさかのぼってデータを取得できないので、なるべく早い段階で作成しておきたいところですね。
まずは以下の4つのフィルタを作成しておきましょう。
ビューは初期段階で次の3つを用意しておけばよいでしょう。
- 一切加工していない素のデータを保持するビュー
- 自分のアクセスやスパムアクセスなどのノイズを除外したビュー(基本となるビュー)
- デバイスごとにデータを分けたビュー
実際に分析を行っていく中で、必要があれば、他にも色々と追加してみてください。
コメントをどうぞ