Webサイトへのアクセスの状況がどんなことになっているのか、普通ならGoogleアナリティクスにログインして確認しなければわかりませんよね。
ところが、自らGoogleアナリティクスにログインしなくても、Webサイトで起こっていることをキャッチできる機能があります。
それがカスタムアラートです。
レポートのメール配信機能と同様、メールで通知してもらうことで、分析における作業効率を上げることができるので、知っておきたい機能です。
目次
Googleアナリティクスのカスタムアラートとは
カスタムアラートは、Webサイトのデータが特定の状況になった時にアラートしてくれる機能です。
Webサイトのデータがどんな状況になった時にアラートしてもらうのか、その発動条件は任意で設定します。
カスタムアラートのメニューにレポートが作成され、メールで通知することもできます。
以前のGoogleアナリティクスには『インテリジェンス イベント』というメニューがあり、カスタムアラートの他に、システム側で自動的にトラフィックデータの変化を検知してくれる『自動アラート』という機能もありましたが、現在はカスタムアラートのみとなっています。
カスタムアラートのレポート画面
カスタムアラートが発動するとGoogleアナリティクスに記録され、[カスタム]→[カスタムアラート]メニューから確認できるようになります。
記録されたカスタムアラートが一覧で表示されます。
記録がなければ、何も表示されません。
表示されているカスタムアラート右側の[詳細]リンクをクリックして、アラートの内容を確認できます。
アラートの表示画面の[レポートに移動]をクリックすると、カスタムアラートの内容に応じたレポート画面に移動します。

カスタムアラートのメール通知
メールの通知を設定しておくと、カスタムアラートが発生したことを知らせてくれます。
カスタムアラートが発生した日付、トラッキングID、ビュー、アラート名が表示され、アラート名のリンクをクリックすると、レポート画面にアクセスします。
カスタムアラートの設定方法
レポートメニュー[カスタム]→[カスタムアラート]から[カスタムアラートの管理]ボタンをクリックします。(または、管理画面のビュー以下のメニューから[カスタムアラート]をクリック)
[+新しいアラート]をクリックしてアラート作成画面に入ります。
[アラート名]に任意の名前を入力します。
[適用]には現在表示しているビューが表示されています。
他のビューにも同じカスタムアラートを設定したい場合は「AND」以降のプルダウンメニューから適用したいビューを選択します。
[期間]を選択します。
日単位、週単位、月単位 とアラートの集計期間を設定します。
アラートが発生した時に、メールで通知を受け取る場合は、[このアラートが発生したときにメールで通知する。]をチェックします。
チェックをすると、アラート作成者の Gmail アドレスに送信されます。(指定不要)
他のメールアドレスにも送りたい場合は[追加するアドレス]プルダウンメニューからメールアドレスを追加します。
続いて『アラート条件』を設定します。
『適用対象』は対象となるデータのタイプを指定します。
『次の場合に通知する』では、対象データがどのような状況になったら通知するのか、発動条件を指定します。
[アラートを保存]で作成します。
実際にどんな風にカスタムアラートを設定するのか、具体例で見ていきましょう。
アクセス状況を把握するカスタムアラート設定例
トラフィックデータの変化を捉えるカスタムアラートの作成例です。
- 期間
- 適用対象
- 次の場合に通知する(適用条件)
という順番で設定を解説していきます。
ページビューの増加/減少
- 日
- すべてのトラフィック
- ページビュー が 前日 と比較して 20% 以上増加(または減少)
Webサイトへのアクセスが急増したり激減したことを通知します。
増加と減少は、それぞれ作成します。
サイトのタイプや状況によっても違いますが、20〜30% も変動があれば、状況を確認すべきと考えられます。
平日と土日でアクセス数が大きく違う場合などは、比較対象を[前週の同じ曜日]にしましょう。
[ページビュー]の他に[セッション]を通知条件とする方法もあります。
直帰率の増加
- 週
- すべてのトラフィック
- 直帰率 が 前週 と比較して 20% 以上増加
直帰率が高くなった時は、その原因を把握しておきたいところです。
期間は[日]でもかまいません。
直帰率の変化の数値は 15〜30% あたりで指定すればよいでしょう。
逆に、直帰率の改善をチェックするなら、直帰率の減少についてアラートを作成します。
平均セッション時間の増加/減少
- 週
- すべてのトラフィック
- 平均セッション時間 が 前週 と比較して 30% 以上減少(または増加)
平均セッション時間 の増減についてのモニターです。
現状の平均セッション時間から考えて、どれくらい減ったら(または増えたら)注視すべきなのかを設定しましょう。
コンバージョン (目標) の達成度
- 月
- すべてのトラフィック
- 目標の値 が 99999 (目標の値から算出した数値) を超える
コンバージョンの月間の目標獲得数を達成したかを通知します。
[目標の完了数]という指標は、カスタムアラートで選択できません。
そこで、目標の値 × 目標件数 – 1 という計算式でテキストエリアに入力する数値を算出しています。
例では、目標1件の値が 10000 で、目標数が 10件と仮定しています。
コンバージョンが目標の件数を達成した時、目標の値が合計で 100000 になります。
よって、通知条件を『[99999] を超える』とすることで、100000 になった時にアラートが発動します。
他には、コンバージョン率でアラート設定する方法もあります。
- 月
- すべてのトラフィック
- 目標のコンバージョン率が 前月 と比べて 10% 以上増加(または減少)
コンバージョンに関連するカスタムアラートを作成するには、あらかじめGoogleアナリティクスの目標設定をしておく必要があります。
参照トラフィックの増加
- 週
- メディアが『referral』と完全一致
- セッション が 前週 と比べて 30 以上増加
増加の数値はサイトの状況に合わせて設定します。
割合 (%) での指定でもOKです。
リファラーのアクセスが増えたなら、外部のサイトからリンクされたと推測できますね。
検索流入の増加/減少
- 週別
- メディアが『organic』と完全一致
- セッション が 前週 と比べて 20% 以上増加(または減少)
検索流入の増加または減少は、いずれも検索順位の変動の影響が考えられますね。
サイトの異常を検知するカスタムアラート設定例
続いては、Webサイトそのものに異常が起きていないかを監視するアラートの作成例です。
- 期間
- 適用対象
- 次の場合に通知する(適用条件)
の手順で設定を解説します。
アクセスなし (サイトのダウン)
- 日
- すべてのトラフィック
- セッション が 1 未満
セッション数が 1 未満 = 0 であることは、 新規サイトの公開直後でもない限りは考えにくいです。
サイトがダウンしているなどの可能性があるので、すぐに調査が必要です。
ただし、カスタムアラートはリアルタイムで通知しないので、後々のために記録として残すために設定します。(後述)
平均読み込み時間の増加
- 日
- すべてのトラフィック
- 平均読み込み時間 が 10秒 を超える
Webサイトの読み込み時間が一定の秒数を超えたら通知します。
このアラートが何度もあるようなら、恒常的に読み込み速度に問題がありそうです。
サイトの表示に関するパフォーマンスを定期的にチェックするなら、次のようなアラートの作成も考えられます。
- 週(または月)
- すべてのトラフィック
- 平均読み込み時間 が 前週 (または前月) と比べて 10% 以上増加
%の数値は、現在の平均読み込み時間から判断して指定しましょう。
404 エラー (リンク切れ)
- 日
- ページ タイトル が 「ページが見つかりません。」 と完全一致
- ページビュー数 が 10 を超える
完全一致のテキストに、404 ページのタイトル (title タグの内容)を正確に入力します。
404 が日頃からどれくらい発生するのかは、サイトによって結構差がありますが、意図しないリンク切れを防ぎたい場合はアラートを活用できます。
404 エラーの確認には Search Console の クロールエラー も利用しましょう。
カスタムアラートの通知タイミングと活用方法
Googleアナリティクスのカスタムアラートは、一定の数値以上にデータが変動したことをキャッチしたい時に便利な機能ですね。
目的次第で、他にも色々なアラートを作成することができるので、自サイトに合ったアラートを考えてみるとよいでしょう。
さて、非常に便利なカスタムアラートなのですが、弱点があります。
それは、通知メールのタイミングが遅いということです。
メールが送られてくるのは、アラート発生日の2日後です。
なぜかはわかりませんが、おそらく、日本のタイムゾーンの設定による時差の問題なのかと思われます。
サイトの異常を検知するようなカスタムアラートの場合は、即時対応すべき事態もあり得るので、残念ながら、カスタムアラートを頼りにすることはできません。
この点については、必要に応じて別の方法やツールを検討しないといけませんね。
しかし、カスタムアラートを設定しておけば、通常のレポートと区別して記録できる分、注目すべきデータの動きについての見落とし防止や分析時のデータの抽出が行いやすくなります。
分析作業の効率を図るうえでは、カスタムアラートは役に立つ機能です。
ぜひ活用してみてください。
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